ニデックコンポーネンツ株式会社 〜 主要製品の開発物語
この記事は、弊社で取り扱っている商品の中から、通信販売でご提供しているコパル電子商品について紹介いたします。
第1回 主要製品の開発物語( 2018/06 公開 )
川原 ( 以下:川 ) メトロ電気のコラム担当の川原です。今回のコラムはニデックコンポーネンツ株式会社 芝原様をお招きし、会社概要から商品紹介まで色々とお聞きしたいと思います。全5回のコラムとなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
芝原(以下、芝) こちらこそ、よろしくお願いいたします。
川:第1回目ですので、まずは会社概要からお聞きしたいと思います。
芝:はい、そうですね。社名をニデックコンポーネンツと言いまして、主にスイッチ、センサ、アクチュエータを取り扱っているメーカーになります。設立は昭和42年、今年で51周年になります。2017年度の売上高は連結で約330億円の見込みとなっています。従業員は、1200名前後となります。
川:会社案内を拝見させて頂くと、国内外に営業所や子会社があってどこでも、御社の商品が入手できそうですね。取扱い製品の特長はなんですか?
芝:取扱製品の特長と言いますか、弊社の特長は沿革と併せてご説明するのが良いかと思いますので、設立から説明いたします。
川:はい、お願いいたします。
芝:最初は、コパル製品の巻線可変抵抗やポテンショメータなどを販売する”商社”でした。
コパルは機械式のシャッターの大手でして、そこで製造した電子部品の販売商社でした。
川:コパルの製品を販売するからコパル電子な訳ですね。コパルの資本で設立したのですか?
芝:コパルの資本は100%ではなく約45%を出資して頂きました。
川:今は、商社ではなくメーカーとして確立していますよね。
芝:創業当初から、自分たちの製品を作りたいという考えがあり、創業5年目でサーメットトリマを製造・販売を開始しました。当時はコパル製品の巻線可変抵抗器を取り扱っていたのですが、その価格が高いこととサーメットトリマが海外で実用化されていることを知り、弊社で商機を見出し、開発を行いました。
ちなみに、サーメットはガラスと金属粉を焼き固めた物で、セラミックとメタルを合せた造語なのですよ。
川:すごいですね、5年で自社開発とは。ところで販売していた、コパル製の巻線可変抵抗とサーメットトリマは競合しなかったのですか?機能的には同じものですよね。
芝:サーメットトリマは巻線可変抵抗器の全てに置き換えられる製品ではありませんでした。巻線可変抵抗器は高精度な設定が出来るので、精度が要求される測定機器などに使用されており、サーメットのラフな精度とは用途が競合しませんでした。
川:取り扱っていた製品と競合しないなら販売しやすいですね。
芝:はい、その6年後にロータリースイッチの製造・販売を開始しました。世のデジタル化の流れにのりましてマイコンの設定用などの用途で今でも息の長い製品になります。
ロータリースイッチ / CS-4
川:トリマと見た目が非常に似ていますけど、機能的には全く異なるものですね。
芝:この2品種を開発した頃に、メーカーとして軌道に乗りました。
川:まさに御社の黎明期のお話ですね。
芝:さらにその2年後に半導体圧力センサの製造・販売を開始しました。これも息の長い商品で、当社の主力製品になっています。販売当初の昭和55年は半導体圧力センサを※1オシロメトリック法の血圧計に使用していました。血圧計向けですので沢山出荷しました。
芝:今は血圧計に使用するのは更に安価な圧力センサへと代わってしまいましたが、ここで培った医療機器業界での実績が医療機器向けのカスタム圧力センサ製品へと繋がりました。また、当社の製品は精度の良い事もあって半導体製造装置にも数多く組み込まれています。
圧力センサ / P-8505
川:スイッチのノウハウから、センサが出てくるのは珍しいと思うのですが、どんなきっかけだったのでしょうか。
芝:海外メーカー製品を参考に弊社関連の開発専門会社で開発をしていました。
川:貪欲に成長していく姿勢が、当時の勢いを表していますね。
芝:次にポリゴンレーザスキャナを開発しました。
これは単品で販売をするだけでなく、光学ユニットとしても販売を計画しておりましたが、お客様が製造している製品と競合してしまったために、光学ユニットを断念して単品販売をする方向になりました。
芝:また、市場で要望の高かった高速スキャンを実現するために、高耐久の空気軸受けを開発したのですが、ベアリング会社が高寿命の製品をリリースしてしまいました。そうなると空気軸受はベアリング程に安価にはできませんので価格競争では負けてしまいます。特許まで取得した素晴らしい技術を持っているのですが・・・
芝:また、他社に比べてポリゴンミラーの精度が高く、ミラーのみを販売して欲しいと言う声もありまして、今はミラーのみの販売も行っております。
川:ポリゴンレーザスキャナは小ヒットといったところでしょうか。
芝:そうなります。そしてタイミングの悪いことに、ここで※2シリコンサイクルと呼ばれる周期の底に入りました。売り上げはあるけれど受注がないと言う状況でした。当時はシリコンサイクルと言う名称自体が知られていなく、どうして受注がないのだろうと不思議がっていました。昭和60年までは急成長をしていたために毎年新卒を100人ほど採用していましたが、昭和61年からはピタッとやめるくらいでした。本社を入間に移転するなど、経費の削減に努めました。
川:急に訪れた冬の時代ですね。1990年代前半のバブル景気の終了とともに景気が減退した時でもありました。
芝:それでも当社は5年ぐらいで徐々に売り上げも伸ばして、平成に入ってからは海外販売に注力しました。ドイツとアメリカとシンガポールに現地法人を立ち上げました。その過程で本社も新宿に移しました。
川:商品開発の次に販売体制の拡充で順調に成長したのですね。さすがです。
芝:そう言ったことを経て順調に売上げと利益を伸ばし、さらなる発展を目指して株式を店頭公開しました。
川:一流企業の仲間入りですね。
芝:株式を公開したまでは良かったのですが、45%の株式を持っていた親会社のコパルが日本電産入りをしまして、自動的に当社も日本電産の子会社となりました。私はそのことを夕方のニュースで知りましたので大変驚きました。
川:子会社化となると、社内の雰囲気も変わったのではないですか。
芝:社内の雰囲気としては、変わりませんでしたが、時代の流れと親会社の方針でコストを意識した海外生産展開が始まりましたね。アミューズ向けモータの生産が平湖に移管され、可変抵抗やスイッチ類の製造は杭州の合弁会社に移管されました。モノづくりは中国で行うという方針によるものです。
川:平湖には日本電産グループの工場があつまっていますからね。
芝:また、お金は寝かせずに儲けを生む使い方をしなさいと言う方針があります。
川:どういった使い方をしたのですか。
芝:スイッチ分野の業績拡大を目指して、スイッチメーカーとの合併に着手しました。複数社と交渉を重ねてフジソクと合併することになりました。ただ、文化の違いや競合している製品が多いなど、当初予定したより効果は下回ってしまいました。しかし、スイッチのラインナップは大きく増えました。
川:トグルスイッチ等のラインナップが増えましたね。
芝:2014年10月に日本電産の完全子会社になりまして上場廃止になりました。
川:ロゴが COPAL-ELECTRONICS から NIDEC に変わりましたね。
芝:以上で、コパル電子の沿革の説明になります。長くなってしまいましたが、当社について理解して頂けましたら幸いです。
川:製品拡充〜販売網強化〜経営強化と時代ごとに注力している内容が変化している特徴が出ていて興味深いと感じました。
芝:次回は、具体的な商品説明に移りたいと思います。まずはサーメットトリマですね。
川:はい、次回もよろしくお願いいたします。
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